ひっさしぶりにABSフィラメント購入してみました。
ABSは3Dプリンターを初めて買った時にPLAより丈夫で良さそうって事で深く考えずに買ってその時作りたかったものと全く合わず(天吊のライトからの光が眩しくて、1.5mm厚の円柱状のカサを作りたかった)後悔した思い出があってそれ以来買っていませんでした。
今回買った理由としてはPrusa miniのホットエンドのファンを増設しているんですが、PETGで作っていたため少し熱変形してしまい、印刷物にぶつかってしまうのを回避したかったのと、キャタピラーを作りたかったと言うのがあります。
eSun ABS+
今回購入したABSはeSunのABS+です、マットの黒があったんでこれにしました。
あと悩んだのはLongsellのPCフィラメントです。こちらも耐熱性があり、丈夫で良さそうだったのですが、販売元がLongsellではなく怪しかったので今回は見送りました。
※前回のブログでも書きましたがAmazonのPrusaオフィシャルが作った販売ページに便乗する形で他業者が同じものだと偽って販売している場合があります。必ず販売元がまともな所か確認して購入するようにしてください。
eSunのABS+はAmazonのレビューを見るとちょっと厄介そうだったのですが、まぁなんとかなるだろうと言うことで買ってみましたが、やはりなかなか厄介でしたね。
温度設定
ABSは温度が下がると収縮するのでエンクロージャーに入れた方がいのですが、Prusa MINIにはエンクロージャーがなかったためゴミ袋を被せてエンクロージャー代わりとしました。
(真似して火事になっても責任は取れませんのでやめてください)
使用しているスライサーはPrusaSlicer 2.4.2です。
Twitterでも色々検索してみたのですが、FANは付けちゃダメという意見がみられとりあえずはFANなしでプリントするも撃沈、、、
上記のテストではなんとなく温度(255℃)だけ見て造船テストに移りました。
FAN設定
FAN0%のものは明らかにエッジが垂れてどうしようもなくすぐに止めました。
FAN35%はエッジが立っていますが船体の真ん中あたりに異常なラインが入っています。
ちょうど船の甲板の辺りです。ここから下はインフィルだけなので甲板は縮まないですが、インフィルの部分が極端に収縮してしまっています。
何度かテストをして、常時FANを25%にしました。少し窓の上あたりは垂れていますが、そのほかはきれいです、うちのPrusa MINIはホットエンドのFANを2つ付けているので25%でも通常よりは多めに風が出ています。
射出率
XYZ キューブもプリントしてみましたが上面を見ると少し隙間が目立ったのでフィラメントの射出率を1から1.05にし、それでもまだ少し隙間が見えたので射出率1.08で最終決めました。
射出率はフィラメントの入力の設定です、小数点2桁まであるノギスやマイクロメーターがあると良い(フィラメントは1.75mmが基準)のですが、多分少し細いんだと思います。
フィラメントを計測するときは5mほど引き出して数カ所で測る、新円になっているとも限らないので縦横測る事が必要らしいです。
フィラメントが細いと、プリンターが思っているより実際の入力が少ないわけですから、スカスカになって強度も落ちます。
後日計測し直した射出率1.08と1.10の比較
Zの折り返しなどでやはり1.10の方が溢れ気味
1.08と1.05の間(1.07位?)でも良いかもしれないが差は微妙だと思うし、積層割れの情報もあったので強度も出るであろう1.08に。
サポート設定
これで大体の設定はできたのですが、せっかくなのでサポートの設定も見てみます。
マットな黒なんでFANを入れると案外きれいに出てくれてサポートも簡単に剥がせるようでした。
サポートのテストにはHanaさんのサポートテスト用のデータを使わせていただきました。
実際のデータダウンロードはPrintablesから。
PrusaSlicerの個別設定でオブジェクトごとにサポート時のトップコンタクトZ距離を変更したり、インターフェイスレイヤーのレイヤー数を変えれるので一気にテストできる上、オブジェクトにナンバリングがされているので値の確認も簡単です。
元の3mfファイルではコンタクトレイヤーが6レイヤーまでの設定をされているのですが、3レイヤーもあれば十分だと思うので、1〜4はトップコンタクトZ距離を0.1mm、5〜8は0.15mm、9〜12は0.20mm、13〜16は0.05mmにしました。
それぞれ1,5,9,13はトップインターフェースレイヤーを1に、2,6,10,14は2、3,7,11,15も2だがコンタクトレイヤーのピッチを0.1に(他のコンタクトレイヤーのピッチは全て0)、4,8,12,16は3です。
設定値を忘れないようにプロジェクトを保存しておく事をオススメします。
4 | 3 | 2 | 1 | 備考 | |
トップコンタクトZ距離 トップインターフェースレイヤー コンタクトレイヤーのピッチ | 0.10mm 3 0mm | 0.10mm 2 0.1mm | 0.10mm 2 0mm | 0.10mm 1 0mm | 素手やニッパーでは剥がしにくい |
8 | 7 | 6 | 5 | ||
トップコンタクトZ距離 トップインターフェースレイヤー コンタクトレイヤーのピッチ | 0.15mm 3 0mm | 0.15mm 2 0.1mm | 0.15mm 2 0mm | 0.15mm 1 0mm | 剥がしやすいが積層があれ気味 |
12 | 11 | 10 | 9 | ||
トップコンタクトZ距離 トップインターフェースレイヤー コンタクトレイヤーのピッチ | 0.20mm 3 0mm | 0.20mm 2 0.1mm | 0.20mm 2 0mm | 0.20mm 1 0mm | 剥がしやすいが積層が かなりあれ気味 |
16 | 15 | 14 | 13 | ||
トップコンタクトZ距離 トップインターフェースレイヤー コンタクトレイヤーのピッチ | 0.05mm 3 0mm | 0.05mm 2 0.1mm | 0.05mm 2 0mm | 0.05mm 1 0mm | 非常に剥がしにくい |
バランスの良かった左端の列 を全て裏から撮ってみました。
今回は4番がサポートの剥がしやすさ、球体のキレイさで一番バランスが良かったです。
4はトップコンタクトZ距離が0.1mm、トップインターフェースレイヤー3の設定ですね。
設定値は下記の枠内のようになりました。
この辺りをバランス見ながら設定してみてください。
破壊テスト
と、ここまで書いてきてふと肝心の強度は出ているんだろうか?という疑問に駆られ破壊テストをしてみました。
3DBenchyの船をモンキーレンチでもぎり取るというテストです、結果は、、、。
なかなか酷かったです。
左の赤い船はQidi X-Proを買ったときにおまけでついていたPLAで一年以上前に作ってあったものです、こちらは断面が鋭利に尖っていて積層で割れていないのがわかります。
eSun ABS+はキレイに積層で避けちゃってますね、、、。
ということで積層間密着がイマイチでどうしようもない事が判明しました。
対処としてはフローをさらに増やすか、温度を上げるか、ファンを減らすかでしょうか。
とりあえず今回の記事はここまでとします。
改善するかなぁ、、、。
後編はコチラ
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